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魅力の発信不足を指摘  関大生が見た大阪・日本橋の街  日本橋まちづくりワークショップ 学生たちから意見続出

日本橋にトラムを通してにぎわいを進める会(委員長・蘇建源共立電子産業相談役)が2016年8月5日、大阪・日本橋4丁目の日本橋筋商店街振興組合の会議室で日本橋の街づくりの研究集会「関大生が見た日本橋のまち」を開き、20代の関西大学生たちの目に映った日本橋の印象やあるべき姿などの指摘を受けた。住民や地元の商店主などとの意見交換を交えて、日本橋の問題点やそれを改善する具体策などに付いて学生たちと一緒に検討し合った。

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日本橋まちづくりワークショップ参加者

 日本橋の街歩きをしてその報告書をまとめたのは関西大学環境都市工学部建築学科の岡絵里子教授と、その学生7人。五階百貨店や古くから日本橋を代表する商業施設などを見て歩き、写真とメモで記録していった。当日はそれを学生が3組に分かれて、スライドを見ながら報告した。

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関大・岡絵里子教授

 ある学生たちは看板に注目して「古い看板と新しいものが入り乱れているのが魅力的だった」とし、たとえば日本橋商店会にある店舗のように展示の方法や看板によって「思わず店の中へ入りたくなる所もある」と感想を述べていた。
 美観問題で制限されているはみ出し展示も、彼らにとっては展示の仕方によっては効果的といった判断をしている。
 また歩道や店頭への自転車の駐輪は「トラムが走った時に、車窓から見える景観としてはいかがなものか」といった指摘もあった。

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街あるきの報告をする学生

 さらには「日本橋は時代という波にうまく乗る街で、新しいものが生まれている」といった指摘もあった。そのひとつがオタクが集まるオタロードは日本橋の新しい顔となっている。それに対して「オタロードのように通りに名前を付けるネーミング戦略は大切」とも。

 日本橋の街は専門性が高くて、外壁・広告も面白いなど歩いていて楽しい、といった意見も学生たちから出たが、狭い歩道への駐輪によって実際には歩きにくい街になっていることや、店頭に若い女性の裸に近いポスターが貼り出してあるなど子ども連れでは歩けない-などの問題点も具体的に指摘された。
 それに対して街側からは、対応に苦慮している理由の説明はあったが、街歩きを楽しめる美しい街にする具体策は示されなかった。

日本橋まちづくりワークショップ・作家45人によるハンドメイド雑貨の店も.jpg
作家45人によるハンドメイド雑貨の店の報告も

 学生たちも「トラムが通れば歩行者も増えるかもしれない」と予測するものの、現状では歩くのにふさわしい街がどうかといった疑問も少なからずあるようだ。

 日本橋特有の狭い歩道を走行する自転車、それの駐輪など自転車問題はなかなか解決策が見い出されないでいるが、学生からは「自転車で街にやって来られるように、自転車が安心して走ることができる道路が必要」といった声も出た。
 トラムの開通と同時に歩道の拡幅、自転車専用道路の設置も、解決しなければいけない問題として残されている。

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抽出された問題点をまずカードに書き写す
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ホワイトボードには出された意見がぎっしりと書かれている

 また、通天閣は大阪のランドマークとして有名だが、日本橋と通天閣がある新世界の街が隣同士であることは意外と知られていない。街の人たちにとっては当たり前のことなのであるが、学生たちにとっては日本橋の街から通天閣が間近に見えたことは<新発見>のように映ったのである。
 「歩いて通天閣へ行けるのは魅力的ですね」
 大阪府・大阪市は大阪・ミナミの回遊観光を提唱しているが、このように実際には周辺の観光スポットと日本橋が隔絶された街のように映っているのも事実のようだ。

■ドキドキ感がある街に

 ワークショップでは学生たちから出された街の魅力的な点を生かしながら、抱えている課題の解決をはかる対策が、学生、日本橋が一緒になって検討された。
 まず、日本橋がウリにすべき点として「生きた看板を作るべき」「ドキドキ感がある街に」「時代の波に乗る街に」といった3点が抽出された。
 それを受けてそれらを具体化するための方法が検討され「古い看板を取り外すことが先決で、その方法を見出す」「小学校跡地などを利用してランドマークを作るほか、商店街に出店する業種を制限する」「何を販売しているのかが分かり難い点を解消すべき」などの意見が出された。

日本橋まちづくりワークショップ・学生、日本橋が一緒に真剣な討論が行われた.jpg
学生、日本橋が一緒に真剣な討論が行われた

 学生から出された意見に対して日本橋側は「日本橋筋から自動車を締め出すという案もあるし、はみ出し展示については店舗を現状より2メートル程度奥へ下がってもらい、はみ出し展示を認める方法もある」といった意見も出ていた。

 ワークショップを通して学生たちにとっては斬新や不思議に映った事物も、地元にとっては当たり前であったり無感動の存在であることが改めて分かった。たとえば日本橋総合案内所は、街へやって来た人たちの買い物案内から街に関するすべてを教えるサービスカウンターであるが、今回、学生たちの目には「アニメなどオタク向けのサービススポット」として捉えられていたことが分かった。
 このズレを是正するところから街づくりを進めていかなければならないのかもしれない。

 蘇委員長は「出されたたくさんの意見は、最先端の趣味の街である日本橋の次ぎの姿を考える参考にして行きたい、再度、こうしたワークショップを開きたい」と話していた。




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